青華唐草紋尊式七宝透花瓶
作者の河本礫亭は、瀬戸で最初の陶芸家グループである「陶均会」のメンバーで、1972年には愛知県指定無形文化財「染付磁器」の保持者に認定されるなど、瀬戸陶芸界を代表する作家の一人である。
古代中国の銅器に由来する「尊」の形を模しており、胴部には七宝繋の形に透かし彫りが施され、その隙間から草花文が描かれた内部の筒が見える。
巧みな技を凝らした本作は、秩父宮家の旧蔵品で、96年に宮内庁三の丸尚蔵館に遺贈された。
(瀬戸市美術館学芸員・西野航)
皇室に伝わる優れた工芸品のうち、陶都・瀬戸をはじめとする愛知県ゆかりの品々を紹介する展覧会「皇室の名品―愛知ゆかりの珠玉の工芸―」が、瀬戸市美術館(愛知県瀬戸市)で7月31日まで開かれている。