日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2023.11.22

【皇室と石川・四】金蒔絵 高貴な輝き放つ ― 「鳳凰菊文様蒔絵飾棚」(国立工芸館主任研究員・北村仁美)

皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の煌きらめき―

皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)の収蔵品から、石川ゆかりの作品や国宝などの名品をそろえた展覧会「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の煌めき―」が、石川県立美術館と国立工芸館(いずれも金沢市出羽町)で開かれている。いしかわ百万石文化祭2023のメイン行事で、2館合同の開催は全国で初めて。両館の展示品から見どころを紹介する。

 

鳳凰菊文様蒔絵飾棚ほうおうきくもんようまきえかざりだな 島田佳矣しまだよしなりほか
昭和3年(1928年) 皇居三の丸尚蔵館収蔵
国立工芸館で展示

本作は、高さと幅がおよそ150センチ、奥行きが50センチほどの堂々たる飾り棚です。昭和天皇ご成婚のお祝いに、内閣総理大臣以下文武官一同から献上するため制作されました。この棚の大きさから、棚が置かれていた空間である宮殿建築のスケール感もうかがわれます。

「鳳凰菊文様蒔絵飾棚」

大きさもさることながら、棚全体に金の蒔絵がほどこされており、展覧会の会場でもひときわ異彩を放っています。作品の前で少し視線を上げて見るとわかるように、棚板の裏面にもすべて蒔絵がほどこされています。描かれているモチーフは、優れた君主が現れた兆しとして出現すると言われている伝説の鳥・鳳凰と、皇室の象徴である菊の花です。

背景は、蒔絵粉を巧みに用いて奥行きを感じさせる仕上げで、光り輝く空間のなかを菊の花の枝をくわえた鳳凰が悠々と飛翔ひしょうする、そんな重厚で優雅なイメージを現出させています。鳳凰のくちばしや羽の一部には、光の反射で虹色に輝く貝を用いて、高貴な印象を高めています。

金沢市出身で、のちに東京美術学校(現・東京芸術大学)で図案科教授を務めた島田佳矣(1870~1962年)が、本作の全体の構想とデザインをしました。制作時から「我が国の当代美術工芸品の最高峰」となることが目指され、一流の技術をもった人々による制作チームが結成されたといいます。

献上されてから、これまでほとんど東京から持ち出されることのなかった本作ですが、島田をはじめ石川県出身の工芸家とも縁が深いことから、本展で特別に出品がかないました。秘宝「御飾棚」を間近で見ることのできる機会、どうぞお見逃しなく。(国立工芸館主任研究員 北村仁美)

(2023年11月22日付 読売新聞朝刊より)

■ 皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の煌きらめき―

【会期】2023年10月14日(土)~11月26日(日)

【会場】石川県立美術館、国立工芸館(金沢市出羽町)

【主催】石川県立美術館、国立工芸館、いしかわ百万石文化祭2023実行委員会、宮内庁、文化庁、国立文化財機構

【共催】北國新聞社

【特別協力】紡ぐプロジェクト、読売新聞社、前田育徳会

【問い合わせ】石川県立美術館076・231・7580、国立工芸館(ハローダイヤル)050・5541・8600

Share

0%

関連記事