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2023.10.27

【皇室と石川・一】鶏の生命感 色彩豊かに ― 国宝「動植綵絵」(石川県立美術館学芸第一課長・前多武志)

皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の煌きらめき―

皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)の収蔵品から、石川ゆかりの作品や国宝などの名品をそろえた展覧会「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の煌めき―」が、石川県立美術館と国立工芸館(いずれも金沢市出羽町)で開かれている。いしかわ百万石文化祭2023のメイン行事で、2館合同の開催は全国で初めて。両館の展示品から見どころを紹介する。

 

国宝動植綵絵どうしょくさいえ 伊藤若冲いとうじゃくちゅう
江戸時代(18世紀) 皇居三の丸尚蔵館収蔵
「群鶏図」は11月5日まで石川県立美術館で展示

画面狭しと、多種多様な鶏が描かれています。その数は13羽。鶏は、近年人気の高まる伊藤若冲の中でも、最も人気のモチーフです。

「動植綵絵」全30幅は、伊藤若冲が約10年の歳月をかけて完成させた畢生ひっせいの作で、同じく若冲が描いた「釈迦三尊像」の周囲を飾る荘厳画として京都・相国寺に寄進されたものです。若冲は様々な動植物の生命を、絵画の姿をもって供養しようとしたのでしょうか。

「動植綵絵」群鶏図

さて、若冲は庭に鶏を放し飼いにして、写生、観察を重ねたことは知られていますが、その成果として羽根などを鮮やかな濃彩で描き出しています。ただし、現実の日本鶏にはあり得ない配色もあり、若冲が写生だけによらず、自らの創意によって創出したのが本作といえます。

また、1999年(平成11年)から6年の歳月をかけた解体修理によって、絵絹の裏側からも色づけする裏彩色うらざいしきの技法が多用されていることも判明しました。この名作は綿密な作画計画によって生み出されたのです。

本展では、30幅からなる「動植綵絵」のうち、4幅を前後期2幅ずつに展示します。実物は思いのほか大きく、皆さまに新たな感動を与えてくれるに違いありません。(石川県立美術館学芸第一課長 前多武志)

(2023年10月27日付 読売新聞朝刊より)

■ 皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の煌きらめき―

【会期】2023年10月14日(土)~11月26日(日)
11月6日(月)は休館

【会場】石川県立美術館、国立工芸館(金沢市出羽町)

【主催】石川県立美術館、国立工芸館、いしかわ百万石文化祭2023実行委員会、宮内庁、文化庁、国立文化財機構

【共催】北國新聞社

【特別協力】紡ぐプロジェクト、読売新聞社、前田育徳会

【問い合わせ】石川県立美術館076・231・7580、国立工芸館(ハローダイヤル)050・5541・8600

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