東京・半蔵門の国立劇場で9月から「初代国立劇場さよなら公演」が始まった。来年10月の閉場まで様々な特別公演が予定されており、9月23日の「舞踊名作集Ⅰ」では尾上流の尾上
翁、
千歳を勤めるのは墨雪さんの長女・紫さん。「父は一緒に育ったと言いましたが、私は、国立劇場の舞台に育てられた。さよなら公演という記念の会に家族3人がそろって出演させていただけて、本当にありがたい」
墨雪さんの長男で、現・家元の菊之丞さんは、三番叟を勤める。「初舞台も家元の襲名披露も国立劇場で、お芝居(歌舞伎)でも振り付けのお手伝いをさせていただきました」と語る。「『式三番叟』は古典芸能に多くありますが、翁、千歳、三番叟が一緒に華やかに踊る作品はあまりない。そこが日本舞踊の柔軟性、多様性だと思います」
劇場は2029年秋に再開場する予定。墨雪さんは「その時のこけら落とし公演もぜひ、出たいですね」と朗らかに語った。
(文化部 森重達裕)
(2022年9月4日付 読売新聞朝刊より)
0%