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2022.9.15

国立劇場「さよなら公演」開始…尾上流、9月23日に親子で「四季三葉草」

国立劇場さよなら公演「四季三葉草」に出演する日本舞踊尾上流の(左から)尾上菊之丞さん、尾上墨雪さん、尾上紫さん(東京都中央区銀座で)=奥西義和撮影

東京・半蔵門の国立劇場で9月から「初代国立劇場さよなら公演」が始まった。来年10月の閉場まで様々な特別公演が予定されており、9月23日の「舞踊名作集Ⅰ」では尾上流の尾上墨雪ぼくせつさん、ゆかりさん、菊之丞さんが清元の舞踊「四季しき三葉草さんばそう」を披露する。

翁、千歳せんざい、三番そうの3者が天下太平、五穀豊穣ほうじょうなどを祈念して舞う「式三番叟」をもじった作品で、歌詞には四季折々の草花の名が詠み込まれている。「荘重感の中にしゃれた感じ、軽妙さを兼ね備えた、実に名曲です」と語る墨雪さんは、くしくも国立劇場のこけら落とし公演(1966年11月)でも同演目で翁を勤めた。「当時は大学卒業直後で、尾上流の家元を継いで間もない頃。この劇場と共に年を取り、共に育ってきました」としみじみ語る。

国立劇場のこけら落とし公演の尾上墨雪さん(中央、当時は二世尾上菊之丞) 1966年撮影=国立劇場提供

千歳を勤めるのは墨雪さんの長女・紫さん。「父は一緒に育ったと言いましたが、私は、国立劇場の舞台に育てられた。さよなら公演という記念の会に家族3人がそろって出演させていただけて、本当にありがたい」

墨雪さんの長男で、現・家元の菊之丞さんは、三番叟を勤める。「初舞台も家元の襲名披露も国立劇場で、お芝居(歌舞伎)でも振り付けのお手伝いをさせていただきました」と語る。「『式三番叟』は古典芸能に多くありますが、翁、千歳、三番叟が一緒に華やかに踊る作品はあまりない。そこが日本舞踊の柔軟性、多様性だと思います」

劇場は2029年秋に再開場する予定。墨雪さんは「その時のこけら落とし公演もぜひ、出たいですね」と朗らかに語った。

(文化部 森重達裕)

(2022年9月4日付 読売新聞朝刊より)

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