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2024.7.9

野村万作さん「川上」を披露 — 文化勲章受章 記念狂言会

狂言の人間国宝、野村万作さんの文化勲章受章を記念した狂言会が〔2024年〕6月22日、東京・水道橋の宝生能楽堂で開かれた。93歳の誕生日を迎えたこの日、一門がそろい、にぎやかに祝った。

「川上」でシテを勤める万作さん(写真・政川慎治)

万作さんは狂言「川上」を披露した。盲目の男(万作さん)がつくつえの音だけが響く静寂な能舞台。地蔵尊を参詣し、目が見えるようになった男だが、盲目は妻(野村萬斎さん)との悪縁が原因とのお告げを受ける。別れを切り出されて怒る妻を見て、男は介抱してきてくれた妻との人生を選ぶ。妻が、再び光を失った男の手を取り歩く背中からは温かさが伝わってきた。

講演では、幼い頃に稽古をつけてくれた祖父・初世野村萬斎との思い出などを振り返り、「いつのまにか大変なとしになってしまった。古典の中にある叙情性、美しさを、笑いと共に伝え、教え込んでいきたい」と締めくくった。

万作さんの芸を後世に伝えようと、「川上」のほか、物語の舞台の奈良県川上村や金剛寺の風景を収録した映画の制作も進む。脚本・監督は犬童一心さん。製作費用をクラウドファンディングで募っている。問い合わせは万作の会(03・5981・9778)。

(2024年7月7日付 読売新聞朝刊より)

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