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2023.10.6

文楽祭 ― 専門外の芸 笑いと拍手 

太夫の豊竹呂太夫さんが松王丸の人形(写真右)、竹本錣太夫さんが千代の人形(同中央)を遣った

文楽技芸員が自ら企画したファン感謝イベント「文楽祭」が〔2023年〕9月25日、国立劇場小劇場で開催された。

チケットは発売直後に売りきれる人気で、この日はロビーで技芸員が来場者を迎え、サインや写真撮影にも気軽に応じていた。

目玉企画の「天地会」では、太夫、三味線、人形遣いの技芸員がそれぞれ専門外の芸に挑んだ。「菅原伝授手習鑑てならいかがみ 寺子屋の段」が上演され、文楽でも屈指の悲劇的な演目にもかかわらず、慣れない楽器や人形の扱いに悪戦苦闘する技芸員たちの姿に、客席からは大きな笑い声と激励の拍手が起こっていた。

(左から)義太夫を語る竹沢団七さん、鶴沢清志郎さん、三味線を弾く豊竹呂勢太夫さん

中でも、三味線を担当した豊竹呂勢太夫さん(太夫)は名場面の「いろは送り」を含めた後半をほぼ一人で鮮やかに弾ききり、そばで太夫を勤めていた竹沢団七さん(三味線奏者)から「うまいっ!」と絶賛されていた。

※写真はいずれも小川知子撮影

(2023年10月1日付 読売新聞朝刊より)

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