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2026.5.3

【修理リポート】重要文化財「如意輪観音坐像ざぞう」(京都・平等寺蔵)― 屈指の美しさ再び

平等寺に戻ってきた「如意輪観音坐像」を見つめる大釜住職(左)

平等寺(京都市下京区)所蔵の重要文化財「如意輪観音坐像ざぞう」の修理が終わり、〔2026年〕3月9日、京都国立博物館(同市東山区)の文化財保存修理所から寺に戻された。

同坐像は鎌倉時代の如意輪観音像の中でも屈指の美しさで、13世紀後半頃の制作と推定される。像高約81センチ、針葉樹材の寄せ木造りだ。面長の整った顔立ちで、頭髪が丁寧に彫られ、女性的な細身の胴部や手足に特徴がある。

寺の境内の文化財収蔵庫に保管されていたが、経年劣化が進み、修理の対象となった。像の本体にほこりが積もり、虫食いの傷みも多く確認された。過去の修理時に施された補修材が必要以上の範囲に及んでおり、この部分が変色し、当初の美しさを失いかけていた。台座の天板が陥没するなど各部にも損傷が見つかった。

美術院(同市下京区)が昨年5月から、殺虫処理や表面のほこりの除去、剥落はくらく止め、虫穴詰めなどの修理を行っていた。

大釜諦順住職(71)は「雰囲気が穏やかになり、きりっと引き締まった姿になられた。きれいになって無事に帰って来られ、感謝しかありません」と話していた。

(2026年4月5日付 読売新聞朝刊より)

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