青森県中泊町の旧家・宮越家にあるふすま絵「春景花鳥図」が、「対」であることが昨年〔2024年〕判明した「秋冬花鳥図」の高精細複製品と並んで、同家の離れで公開されている。春季公開のチケットは完売したが、秋にも公開が予定されている。
「秋冬花鳥図」の本物はロンドン・大英博物館が所蔵。1870年頃、「春景花鳥図」とともに、当時の所蔵先だった奈良県の談山神社から流出し、離ればなれになったとみられており、関係者は約150年ぶりの「再会」を喜んだ。
「秋冬花鳥図」の複製品は、キヤノンとNPO法人「京都文化協会」が取り組む「
二つが対であると判明したのは昨年のこと。元京都国立博物館主任研究員の山下善也さんが宮越家のふすま絵の画像を見て、1987年に東京国立博物館で展示された大英の花鳥図と描き方などが似ていることを思い出した。調査の結果、大英の花鳥図の右側と、宮越家所蔵の花鳥図の左側がつながり、季節の移り変わりを表現していることが分かった。400年以上前の狩野派の作品と推定される。
京都文化協会の田辺幸次・代表理事は「大英博物館でも見られないことが多い作品が複製で再現されて戻ってきて、並んで展示されるのは意義深い」と話していた。
秋の公開は、9月26日~11月2日。チケット販売は、9月9日からの予定。
(2025年6月1日付 読売新聞朝刊より)
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