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2024.10.10

【皇室の至宝 北海道ゆかりの名品・上】 200年色あせない美しさ ― 国宝「動植綵絵どうしょくさいえ群魚図ぐんぎょず」伊藤若冲(道立近代美術館学芸員・飯田花織)

皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)が収蔵する美術工芸品の中から、国宝や、皇室と北海道のつながりを伝える作品などを集めた「皇居三の丸尚蔵館展 皇室の至宝 北海道ゆかりの名品」が道立近代美術館(札幌市中央区)で開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。

国宝
「動植綵絵 群魚図」 
江戸時代(18世紀)
皇居三の丸尚蔵館収蔵

「動植綵絵」の「綵」という字は、美しい彩りの絹織物を意味する。良質な絵絹と絵の具を惜しみなく用いた本作は、制作から200年以上たった今もなお鮮烈さが色あせない。

伊藤若冲(1716~1800年)は、江戸時代の京都で活躍した画人。家族と自身の永代供養を願って、「動植綵絵」30幅を京都・相国寺に寄進した。明治期に皇室に伝わった本作は、明治宮殿で賓客を出迎えたという。

今回、北海道にやってきたのは、「紫陽花あじさい双鶏図そうけいず」と「群魚図」の2幅。「群魚図」の左下に見える青い体のルリハタには、遠い異国のプロイセンで生まれた顔料であるプルシアンブルーが用いられていることが、21世紀に入り判明した。日本においてこの顔料を用いた初めての作例と言われている。(道立近代美術館学芸員・飯田花織)     

〔2024年10月〕27日まで。道立近代美術館(011・644・6882)。

(2024年10月10日付 読売新聞朝刊より)

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