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2024.5.8

【美が結ぶ 皇室と香川・上】飛び交う姿 図鑑さながら ― 伊藤若冲「動植綵絵どうしょくさいえ 芍薬群蝶図しゃくやくぐんちょうず」(香川県立ミュージアム主任専門学芸員・窪美酉嘉子)

皇室ゆかりの美術工芸品を収蔵する皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)から、国宝をはじめとする優品の数々や、香川ゆかりの作品を紹介する展覧会「皇居三の丸尚蔵館名品選 美が結ぶ 皇室と香川」が高松市玉藻町の県立ミュージアムで開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。

 

国宝「動植綵絵 芍薬群蝶図」伊藤若冲
江戸時代 1757年(宝暦7年)頃
皇居三の丸尚蔵館収蔵

国宝「動植綵絵」は稀代きだいの天才絵師と称される伊藤若冲(1716~1800年)絶頂期の作品。全30幅あり、植物、鳥、虫、魚貝、生きとし生けるものが描かれる。

本展で展示する「芍薬群蝶図」には、咲きほこるシャクヤクにチョウがたわむれ、上へ下へと飛び交う。図鑑さながらに幾種ものチョウがさまざまな角度で描かれ、江戸時代の博物学の影響が感じられる。

一方、アオスジアゲハやモンシロチョウ、ベニシジミ、ジャノメチョウなど、今日でも花壇や庭で出会うなじみのチョウの姿は親しみやすく、臨場感が生まれている。

今回、「動植綵絵」とともに、同じく若冲が手がけた「百花の図」(金刀比羅宮所蔵)も展示され、そこにもシャクヤクが描かれる。同時に展示される貴重な機会なので、双方をじっくりご覧いただきたい。(県立ミュージアム 主任専門学芸員 窪美酉嘉子)

◇     ◇     ◇

「美が結ぶ 皇室と香川」展は〔2024年〕5月26日まで。月曜、7日休館(6日は開館)。087・822・0002。

(2024年5月4日付 読売新聞朝刊より)

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