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2022.10.18

【皇室ゆかりの名品】「置時計」清水南山、六角紫水、丸尾専太郎作 二大巨匠の漆工と金工

「置時計」 清水南山、六角紫水、丸尾専太郎作
1924年(大正13年) 宮内庁三の丸尚蔵館蔵

置時計

法隆寺の「玉虫たまむしの厨子ずし」にも似た独特の形に、飛鳥・奈良時代の様々な工芸品の意匠を引用し、組み合わせて装飾された置き時計。

文字盤の下の四側面には朱雀・青龍・白虎・玄武の四神が、台座の四面には瑞鳥ずいちょうと鹿がつがいで表されている。蒔絵まきえ螺鈿らでん象嵌ぞうがんなど、漆工と金工の技法により細部まで作り込まれた品で、1924年(大正13年)の皇太子裕仁親王(昭和天皇)の御成婚を祝して宮内省高等官一同から献上された。

制作は東京美術学校(現東京芸術大学)に委嘱され、彫金部分を清水南山、漆工部分を六角紫水が担当した。南山は現在の三原市出身、紫水は現在の江田島市出身で、広島が生んだ近代工芸の二大巨匠。郷土が誇る工芸家が共同で制作した点も見どころである。

(広島県立美術館学芸員 岡地智子)

皇室に代々受け継がれた美術品から、皇室と広島をつなぐ美の世界を示す特別展「皇室の美と広島―宮内庁三の丸尚蔵館の名品から」が、広島県立美術館(広島市中区上幟町)で開かれている。10月30日まで。休館日は月曜。県立美術館(082・221・6246)。

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