8月に開幕する特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」では、皇室が美術工芸奨励のため、画家、彫刻家、工芸作家らを支援した「帝室技芸員」の作品も多く展示されます。どのような制度だったのかを紹介します。
帝室(皇室)が国内の美術奨励のため、優れた美術家に与えた栄誉職。終身制で年金が下賜された。1890年(明治23年)に彫刻の高村光雲ら10人が任命されたのをはじめ、1944年(昭和19年)までに計79人が選ばれた。
1900年のパリ万国博覧会開催にあたって皇室は、日本の優れた美術工芸品を世界に発信するため、帝室技芸員13人を含む作家23人に出品作品の制作を依頼した。「帝室御調度」「御贈与御下賜品」とする心得で制作する条件で、皇室が制作費を全額負担した。
帝室技芸員は、「龍虎図」(橋本雅邦)はじめ絵画、彫金、
第2次世界大戦後、美術家を保護、奨励してきた帝室技芸員の制度は、日本芸術院会員、50年の文化財保護法施行に伴う重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定制度に引き継がれた。
(2022年7月3日付 読売新聞朝刊より)
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