東京・半蔵門の国立劇場で、6月は101回目となる「歌舞伎鑑賞教室」として、『
『彦山権現誓助剣』は1768年、大坂で人形浄瑠璃として初演され、翌年歌舞伎に移された時代物屈指の名作。心優しい六助と、
1990年に国立劇場で初めて毛谷村の六助を勤めさせていただき、その時は、中村吉右衛門のお兄さんにお稽古をしていただきました。その後、2012年に私の三代目又五郎襲名の博多座公演でも六助を勤めさせていただきましたが、その際は吉右衛門のお兄さんが斧右衛門でご出演くださり、毎日教えをいただいた思い出がございます。
六助は、正義感があって根は優しく力持ち。自分の剣術の師匠が悪者に討たれたことを知った時に、いかに怒りを出せるか、そこの山場にもっていくのが大切です。また、後半の(三味線の旋律に乗せて語る)“
今回は息子の中村歌昇が微塵弾正実ハ京極内匠、孫の小川
私は11回目の鑑賞教室出演です。お園はこのところ度々演じていて、父の吉岡一味斎が討たれる場面を含んだ通しでの上演にも参加しましたので、今回演じるにあたり、前の場面など全体的なストーリーが伝わるように頑張りたいと思っています。
数か月前の舞台で、中村時蔵のお兄さんのお孫さんの小川大晴くんを抱っこしましたし、今度は又五郎さんのお孫さんの綜真くんを抱っこします……今年は抱っこの年ですね(笑)。
お園は最初、
国立劇場の鑑賞教室は、開場翌年の1967年にスタートした。若手俳優による実演を交えた解説もあり、初めての人にも分かりやすい内容になっているほか、社会人に足を運んでもらいやすいよう午後6時半からの回も設けるなど、伝統芸能に触れるきっかけ作りに工夫を凝らしている。これまでの鑑賞者数は600万人を超えたという。
国立劇場制作部長の大木晃弘さんは、「昨年は、1回目の鑑賞教室をご覧になった方が、お子さんを連れて100回目の鑑賞教室に来てくださったという話も聞きました。そうして伝統芸能が次の世代につながっていくよう、101回目を迎えるにあたってもう一度原点に立ち返り、親しみを持ってもらえる公演を目指します」と話した。
鑑賞教室10回目となる又五郎さんは「年々真剣に見て楽しんでくれる学生さんたちが多くなってきているなと実感しています。こうした機会に、少しでも日本の古典芸能に触れていただいて、成人されてからも記憶に残るようになればと願っています」と語った。
また、孝太郎さんは1988年の鑑賞教室『毛抜』のエピソードを披露した。「吉右衛門のお兄さんとご一緒させていただいた時のことです。ある日、女子校のお客様が大勢いらっしゃって、
「歌舞伎は“生もの”で、その日によってお客様の反応が違います。今こちらを見てくれているなというところでハートをつかめるように、また見たいなと思っていただけるように勤めるのが、この鑑賞教室での私たちの役目だと思っています」と意気込みを語った。
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/4613.html
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