日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2022.3.16

めでたい復曲能「岩船」を初公演―国立能楽堂で3月25日、26日

2020年に無観客で行った復曲能「岩船」=国立能楽堂提供

現在は上演されなくなっている廃曲を能楽師や研究者らが復元した「復曲能」が、国立能楽堂(東京・千駄ヶ谷)で初めて上演される。

今回復曲されたのは、作者不明とされる「岩船」。浜の市(宝の市)が開かれている住吉の浦を訪れた使いの前に、不思議な女が現れ、「自分は昔、この浦に岩船をこぎ寄せた女神・天探女あまのさくめである」と明かして姿を消す。やがて女神が龍神の引く岩船に乗り、数々の宝をもたらす――という祝意に満ちた曲だ。

今回は、観世流では通常演じられない前場を復元したほか、後場にも、宝を満載した岩船が浦に着く場面など新たな見どころがある。

3月25日は天探女を大槻文蔵さん、26日は龍神を梅若紀彰さん、天探女を観世喜正さんが演じる。復曲に取り組む大槻さんは「宝をたくさん積んだ船がやってくるというめでたい、楽しい曲。暗い時期なのでお客さんに明るく、豊かな気持ちになってもらえたら」と話している。

両日とも、現存する最古の狂言台本「天正狂言本」だけに伝わる「袴裂はかまさき」も、古い狂言絵の演出を取り入れて上演される。国立劇場チケットセンター(0570・07・9900)。

(2022年3月6日付 読売新聞朝刊より)

公式サイトはこちら https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2021/3108.html

Share

0%

関連記事