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2021.12.18

国立劇場55周年―新しい伝統芸、次の50年も

国立劇場(東京・半蔵門)が開場55周年を迎え、記念公演を行っている。

開場を案内するポスター。英語で表記されている=日本芸術文化振興会提供

国立劇場は、明治時代初期から開場の必要性を説く声があり、長年の懸案だった。第2次世界大戦後、文化財保護法の改正によって、無形文化財の継承に関心が高まったことを受け、1966年11月1日、連合国軍パレスハイツの跡地に開場した。歌舞伎などを上演する大劇場と文楽や日本舞踊、邦楽などを行う小劇場で発足し、第1回の歌舞伎公演として「通し狂言 菅原伝授手習鑑」を上演した。

運営する独立行政法人「日本芸術文化振興会」(旧・特殊法人国立劇場)は、公演のほか、伝承者の養成や調査研究を行っている。79年に国立演芸場、2003年に伝統芸能情報館を敷地内に開館。国立能楽堂(東京都渋谷区)、国立文楽劇場(大阪市)を運営し、国立劇場おきなわ(沖縄県浦添市)、新国立劇場(東京都渋谷区)も設置している。

開場当時の国立劇場=日本芸術文化振興会提供

振興会の大和田文雄理事は「無形文化財は映像で残すこともできるが、舞台でお客さまにみてもらってこそ人から人へ技を受け継いでいける。そのためには、時代ごとの創作や新陳代謝が必要だ」と語る。歌舞伎と文楽など異なるジャンルの競演や、プロジェクションマッピングを取り入れるなど、作り手としてチャレンジを続けている。

一方で「ライフスタイルが変わり、新しい工夫をしなければ、見ていただく側に届かなくなる」ともいう。子ども向け「鑑賞教室」や、会社帰りの鑑賞しやすい時間に合わせた公演、外国人向け「ディスカバー歌舞伎」など、ストーリーや内容を理解しやすいよう解説を付ける。

「伝統芸能はそれぞれ発祥のときから、見る人を楽しませたいというマインドがあった。今の私たちも同じ気持ちで続けて、この先50年後も、伝統芸能の灯を絶やさないようにしたい」とした。

(2021年10月3日付 読売新聞朝刊より)

国立劇場の公演情報はこちら https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu.html

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