17世紀前半に活躍した画家・狩野山雪の代表作、重要文化財「蘭亭曲水図」(京都・隨心院蔵)は、今年春に寄託先の京都国立博物館(京都市)から同館文化財保存修理所に運ばれ、作業が進められている。
全4隻の屏風で、つないだ長さは14メートル以上。353年、中国・浙江省の蘭亭で開かれた風雅の会を画題に、画面右から左へ、滝から流れる水にハスの葉にのせた酒杯を浮かべ、両岸に並ぶ文人42人が漢詩をつくる風景が絵巻物のように描かれる。修理前は、特に流水部分の白絵の具の損傷が激しく、表側から膠水溶液を慎重に塗布し、剥落止めを行っている。
〔2025年〕7月に所蔵者や文化庁調査官らが集まって開かれた監督協議では、新調する表具に用いる裂を検討し、本紙の周りの「小縁」にはやや白っぽいもの、その外側の「大縁」には萌葱色のものを選んだ。修理を担当する岡墨光堂の岡岩太郎社長は「力強い絵。萌葱色と合わせるとさらに華やかな印象になる」と説明した。
表側の剥落止めが完了した後は、解体し、下地から取り外して裏打紙の除去を進める。
(2025年12月7日付 読売新聞朝刊より)