2021年度から5年計画で修理を進めている有志八幡講(和歌山県高野町)所蔵の国宝「阿弥陀聖衆来迎図」について、来迎図を保管する高野山霊宝館、文化庁、和歌山県の担当者らが〔2025年〕2月20日、最終年度の作業方針を確認する会議を大津市の坂田墨珠堂で開いた。
来迎図は3幅合わせて縦約2メートル、横約4メートルに及ぶ平安仏画の傑作。もともと比叡山にあったが、織田信長の比叡山焼き打ちを契機として16世紀に高野山に伝わったとされる。
4年間の修理で、解体、クリーニング、剥落止め、絵を描いた「絵絹」の裏面に貼られた古い「肌裏紙」の除去、古い「補修絹」の除去、補修絹への補彩などが実施されてきた。新しい肌裏紙が施されて絵絹が固定されたため、担当者らは2年以上を経て表面と対面し、じっくりと見入っていた。その上で、肌裏紙の次に施す裏打ち紙と、新調する表装裂の色について協議。技師が用意した色見本の中から、裏打ち紙の色はごく淡い茶色に決定。表装裂の色は数種類に絞り込んだ。
高野山霊宝館の大森照龍館長(64)は「修理はまだ途中だが、久しぶりに見た来迎図は明るくきれいになった。阿弥陀如来の来迎が浮かび上がるようにしっかりと見え、感動した。来迎図を多くの人に見てもらえるように、修理後の公開の方法を検討したい」と話した。
(2025年4月6日付 読売新聞朝刊より)