「紡ぐプロジェクト」の助成対象として修理を進めていた国宝4件、重要文化財4件が、2024年度の作業を終えて、所蔵元などに戻った。今月〔2025年5月〕と来月の2回にわたり、修理の詳細をリポートする。
江戸時代中期の絵師・伊藤
なだらかな山並みや円形の葉、2隻の舟などが変化に富んだ濃淡で配されている。若冲の晩年の山水画様式を検討するうえで、極めて大きな意義を持つ。
巻かれた状態で保管され、画面下部には折れが目立った。紙焼けやシミ、虫食いの跡も確認され、2023年11月から修理していた。担当した「松鶴堂」(京都市東山区)の技師によると、裏打ち紙3枚を全て剥がし、折れて弱くなった部分を補修し、表面を滑らかにした。修理前は本紙の周囲に
紡ぐプロジェクトで修理され、昨年3月に寺に戻った重文「
(2025年5月4日付 読売新聞朝刊より)
紡ぐプロジェクトとは
国宝や重要文化財、皇室ゆかりの名品、伝統文化、技術などを保存、継承していく官民連携の取り組み。文化庁、宮内庁、読売新聞社が2018年に開始した。展覧会の収益の一部や、企業からの協賛金などを活用し、文化財の修理を助成し永続的な「保存・修理・公開」のサイクル構築を目指す。これらの文化財の魅力や修理作業の経過に加えて、次世代に伝える伝統芸能、工芸の技術などを、紙面やサイトを通じて国内外へ情報発信している。
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