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2026.5.3

【修理リポート】重要文化財「山水図襖」(京都・妙心寺・隣華院蔵)― 長谷川等伯「秋夏景」 澄んで明るく

修理を終えた「山水図襖」秋夏景の前で説明を受ける脇坂住職(2月24日、隣華院で)

紡ぐプロジェクトの修理助成事業で、黒田工房も携わる妙心寺・隣華院の山水図襖のうち、「秋夏景」4面の修理が完了し、〔2026年〕2月24日、方丈(客殿)に一時、運び込まれた。

襖絵は、豊臣秀吉の家臣・脇坂安治が1599年に隣華院を建立した際に、絵師・長谷川等伯が描いたと伝わる。「春夏景」「夏景」「秋夏景」「冬景」と、季節が巡っていく構成だ。長年外気にさらされて劣化し、紙の亀裂や墨層と絵の具層の浮き上がりなどが見られたため、「秋夏景」は2022年から「春夏景」とともに修理が進められていた。

襖はこの日、サイズ確認のため、方丈で所定の位置にはめ込まれた。修理を担当する修美(京都市中京区)の技師らから、脇坂尚文住職(50)や文化庁の担当者などに説明が行われた。17年から京都国立博物館(同市東山区)で保管されており、確認作業を終えた後に取り外され、再び運び出された。

脇坂住職は「襖絵は全体的に澄んで明るくなり、見えにくかった部分がよみがえった。作品を将来に伝える準備が整った。貴重な文化財を預かる身としてうれしく思う」と語った。

今後、「冬景」「夏景」計12面の修理も行われる。

(2026年4月5日付 読売新聞朝刊より)

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