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2024.2.8

【修理リポート】国宝「智証大師関係文書典籍」(大津・園城寺蔵)― 裏打紙除去 料紙の糸目確認

「紡ぐプロジェクト」修理助成 熟議、慎重な作業続く

国宝「智証大師関係文書典籍」の修理について協議する関係者ら

「紡ぐプロジェクト」が助成する文化財の修理が順調に進んでいる。現在の姿のまま後世に伝えるべく、試行錯誤を重ねながら慎重な作業が続く。西福寺(大阪府豊中市)の伊藤若冲筆「蓮池図」は、この春にも修理完了を迎える。草堂寺(和歌山県白浜町)の「障壁画」の下張りからは古文書が新たに見つかった。

国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)「世界の記憶」に登録された国宝「智証大師関係文書典籍」の国清寺外諸寺こくせいじほかしょじ求法惣目録ぐほうそうもくろく三弥勒経疏さんみろくきょうしょ(上中下巻)の計4巻について、修理方針を話し合う協議が昨年〔2023年〕12月、大津市の文化財修理工房「坂田墨珠ぼくじゅ堂」で行われた。

所有する園城寺(大津市)の福家俊彦長吏ちょうりらが出席した。文書の本紙を補強する裏打紙を除去し、料紙の糸目がはっきり見えるようになり、保存活用専門委員会の委員は「糸目の確認調査には千載一遇の好機」と指摘した。

新たに裏打紙を施すかについては、坂田墨珠堂の担当者が「裏打紙を新たに付けなくても、補修紙を補えば堅牢けんろう性を担保できる」と提案し、了承された。

表紙や軸など修理後の装丁については、現在の表紙は本紙と厚さや硬さが異なり、保存の観点から新調する必要があるとした。

(2024年2月4日付 読売新聞朝刊より)

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