浄瑠璃寺(京都府木津川市)が所蔵する9体の国宝「木造阿弥陀如来坐像」のうち、2021年度に手がけられた第4仏、第7仏の修理が完了し、奈良国立博物館(奈良市)の文化財保存修理所で関係者に作業内容が報告された。
「木造阿弥陀如来坐像」は、平安時代に貴族の間で流行した浄土信仰を伝える。9体は真ん中の最も大きな「中尊」の左右に4体ずつ並ぶ形で、浄瑠璃寺の本堂に安置されている。
担当した美術院(京都市下京区)の橋本麿嗣・主任技師によると、2体とも、漆地に金箔を貼った漆箔層が何か所も下地から浮き上がっており、樹脂などで定着させる作業に時間をかけた。台座は、仏像の重さを分散させるよう補強材を入れた。
橋本主任技師は「一刻も早く剥落 止めが必要な状態だった。今まで伝えられてきた姿をできるだけ変えないような修理を心がけた」と話した。
浄瑠璃寺の佐伯功勝住職(60)は「直したところがわからないように修理するには、大変な苦労があったと思う」と感謝した。2体は今年夏に寺へ戻るという。
修理は18年度から5か年計画で進めており、22年度は残った第1仏、第8仏の修理を行う。
(2022年4月3日付 読売新聞朝刊より)
「中尊」が1年ぶりに本堂へ…作業に密着しました