2023年度から2年計画で修理を進めている遍明院(岡山県瀬戸内市)所蔵の重要文化財「
仏涅槃図は縦約163センチ、横約153センチ。釈迦涅槃の場面のほか七つの情景を描いた鎌倉時代後半の作とみられる。1931年(昭和6年)の修理後、90年以上が経過。本紙には横折れが走り、絹が浮き上がっている箇所が見つかるなど本格的な修理が必要な状態だった。
約1年半の修理作業の結果、絵を描いた「絵絹」の裏面に新しい肌裏紙を施し、絵絹の表面に貼った「表打ち紙」を除去。新たに補った絹の色調を調整する「補彩」と呼ばれる作業などを、表面から施せる状態になった。
この日の協議では、作業を行う光影堂(京都市下京区)の担当者が修理経過を説明するとともに、絵画を表装する裂地の色や文様、木製軸の両端に取り付ける軸首の金具について提案。黒井覚然住職(57)が京都国立博物館の担当者らのアドバイスを受けながら、これらを決定した。
黒井住職は「色や文様などを自分が一つ一つ決めることになり、大きな責任を感じた。今後、補彩が行われ、表装された『仏涅槃図』がどのような仕上がりとなるのか楽しみだ」と語った。
(2025年1月5日付 読売新聞朝刊より)
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