文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業で、京都・宝積寺所蔵の重要文化財「板絵著色神像」2面の修理が完了し、2月10日、京都国立博物館(京都市東山区)の文化財保存修理所で関係者に報告された。
今年度の修理対象は、鎌倉時代後期に制作された板絵4面のうち2面で、牛頭天王など日本の神々の姿が描かれている。かつて板絵が掛けられた宝積寺の建物は禁門の変(1864年)の頃に焼失したが、板絵は難を逃れて現代に伝わる。
2020年6月に始まった修理では、膠にかわを使い、浮き上がった絵の具層を板に接着する作業などを施した。残る2面の修理は、21年度に行われる。
宝積寺の寺石亮尚住職は「不鮮明だったお顔がはっきりと分かるようになり、驚いた。大事に伝えていきたい」と話した。
(読売新聞大阪文化部 藤本幸大、写真部 枡田直也)
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