国宝「
日本の文化財は絹や紙、木などが多く用いられ、それらは
一方、修理されるのは、展覧会での公開など出番の多い“一軍選手”が中心になり、限られた予算の中で、多くの作品に手が回っていないのが実情だ。
欧米では、企業や個人の寄付を含めた多様な資金の活用により、文化財を守る動きが主流となっている。当館でも2012年度から米金融大手バンク・オブ・アメリカの寄付金を受け、国宝「檜図屏風」や「
また、文化財活用センターでは、インターネット上で企業や個人から文化財修理のための寄付を集めるクラウドファンディングも始めている。
今後の課題は、一般の人に修理への理解をいかに広げるかだ。「紡ぐプロジェクト」は官民の連携で修理を進めるだけでなく、メディアの力を生かし広く修理事業をPRしている点がこれまでにない取り組みだと感じている。多様な支援の輪が広がっていくことを期待したい。
(2021年2月7日読売新聞より掲載)
2年にわたる普賢菩薩像の修理の流れをまとめた動画を制作しました。
伝統的な素材を用いた絵画の修理は「80年から100年ごとに行う」必要があり、作品の裏側まで見られる貴重な機会です。
今回は、以前の修理で補われた絹などを可能な限り取り除く作業が行われており、ルーペをのぞきながら、繊維を少しずつ除去する様子を初公開します。
高精細のデジタル鑑賞が楽しめる「TSUMUGU Gallery」では、普賢菩薩像の細部までクローズアップして見ることができます。詳しい作品解説とともにお楽しみください。
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