Sponsored by 三菱ガス化学
「社会と分かち合える価値の創造」というミッションのもと、三菱ガス化学(本社・東京)が脱酸素技術を応用した文化財保護に取り組んでいる。今年、元日の地震、そして9月下旬の豪雨によって大きな被害に見舞われた石川県能登半島での活動もその一つ。
11月6日、のと里山里海ミュージアム(石川県七尾市)で、石川県内の博物館の学芸員や文化財保護の担当者などを対象に行われた被災文化財殺虫処理講習会に協力、同社の脱酸素包装システム「RPシステム®」の使い方をスタッフが説明した。
大型の設備を必要とせず、脱酸素剤を入れた上で文化財をパックするだけで保護できるため、参加者からは「被災した文化財の保護は時間との戦い。こうした講習会は大変貴重で、他の自治体にも広めていきたい」と高く評価されていた。
文化庁から能登半島地震被災文化財等救援事業(文化財レスキュー事業)を受託している国立文化財機構文化財防災センター(奈良市)が、今回の講習会を主催。
最初に国立文化財機構東京文化財研究所の職員が、被災文化財を一時保管する際の生物被害対策の必要性を説明。その際に有効な手段として、二酸化炭素を使ったり、低温で保管したりすることに加え、三菱ガス化学が得意とする脱酸素剤を活用した「RPシステム®」による殺虫処理も紹介した。
今回の講習会には、能登半島を中心に石川県各地から文化財保護に関わる自治体職員や学芸員ら計約30人が参加。それぞれ、メモを熱心に採ったり、実習の様子をスマホで撮影したりしていた。
その「RPシステム®」とは何か? 三菱ガス化学が1977年、世界に先駆けて発売した「エージレス®」を思い浮かべてもらうとよいかもしれない。密閉容器内の酸素を吸収することで、食品の酸化を防いで、風味などを長期間保つ脱酸素剤。主な成分は鉄粉で、密閉容器内で、空気中2割を占める酸素を吸収し、酸素濃度を0.1%以下にする。
「エージレス®」という名称は知らなくても、バウムクーヘンや生菓子などの包装材に入っている「たべられません」と書かれた脱酸素剤を見たことのある人は多いはず。それを大型にしたものが「RPシステム®」と言ってそれほど大きな間違いはないだろう。
お菓子の代わりに古文書や文化財をガスバリア性の高いフィルムで包み、そこに脱酸素剤を入れて密封して保管する。大きな機材を必要とせず、安全に作業を進めやすいのも「RPシステム®」のメリットだ。講習会では脱酸素剤を使う適切な量やフィルムの密閉方法などを三菱ガス化学のスタッフが中心となって実習形式で伝えた。
「『RPシステム®』は当初、金属部品や半導体などを保管する産業用に開発されたもの」と三菱ガス化学広報グループの
そうした中で、三菱ガス化学は社会貢献の一環として、災害時の文化財レスキューに取り組み、2011年3月の東日本大震災では、岩手県陸前高田市や山田町などで、津波で被災した文化財保護に「RPシステム®」を活用。そうした活動が評価され、2013年には文化庁長官から表彰されている。
今回開かれた講習会にも「RPシステム®」の機材一式を提供し、複数のスタッフを派遣。こうした三菱ガス化学のサポートについて、国立文化財機構文化財防災センターの
受講者たちからも三菱ガス化学の取り組みに期待する声が相次いだ。地震の影響で閉館中の石川県七尾美術館の次長・学芸員の北原洋子氏は、「自館だけの問題ではなく周辺の被災した寺院や個人から文化財保護の相談が多く寄せられている。緊急時でも簡便に扱える『RPシステム®』は大きな力を発揮できる。講習会に参加して得た知識を他の地域にも広め、草の根で文化財を守っていきたい」と話していた。
人目に触れにくい文化財保護は地味な取り組みだ。その活動に三菱ガス化学は真摯に寄り添い続けている。心のよりどころとなる文化財の保護は、中長期的に人々の暮らしを支える大切な取り組みだと信じているからだ。「社会と分かち合える価値の創造」をミッションに掲げ、経済的価値だけではなく、社会的価値も大切にしていきたいという三菱ガス化学の想いが、被災文化財の保護活動にも込められている。
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