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2023.10.2

1200年の寺宝に触れる ― 京都・東寺で秋期特別公開

国宝「両界曼荼羅図(伝真言院曼荼羅)」など展示

国宝「両界曼荼羅図(伝真言院曼荼羅)」について話す新見康子課長(京都市南区の東寺で)

東寺(京都市南区)の宝物館で、真言宗立教開宗1200年記念の秋期特別公開「東寺の宝物をまもり伝える」が開かれている。2010年から記念修理事業に取り組んでおり、修理を終えた宝物や新たな指定品を中心に77点を公開。担当する新見康子・文化財保護課長は「1200年の寺宝に触れてほしい」と語る。

東寺は平安遷都2年後の796年に創建。823年に嵯峨天皇から弘法大師空海に下賜され、真言密教の根本道場となり、この年を「立教開宗」と位置付けている。

新見課長は30年以上にわたり宝物の調査研究や保存、展示に従事してきた。「建造物は元の位置に元の規模で、仏像も元の形を尊重して修理する。弘法大師空海の原形になるべく手を加えずに伝える。そうした修理の考え方を守ってきた」と強調する。

今回は国宝の「両界曼荼羅まんだら図(伝真言院曼荼羅)」と空海が最澄にあてた書状「弘法大師尺牘せきとく風信帖ふうしんじょう)」を展示するほか、鮮やかな彩色が修理でよみがえった「弘法大師行状絵巻」で空海が東寺を下賜された場面を見せる。

〔2023年〕11月25日まで(展示替えあり)。10月9~31日には、境内で特別拝観「東寺のすべて」(読売新聞社など主催)が開催される。

(2023年10月1日付 読売新聞朝刊より)

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