正倉院宝物の再現模造品を通して、保存継承の大切さを伝える展覧会「正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史―」が、明治神宮ミュージアム(東京都渋谷区)で開かれている。
模造品の制作は、明治天皇が1877年に奈良を訪ねた際、正倉院宝物の整理と傷んでいる宝物の修理を命じたのがきっかけという。1972年に宮内庁正倉院事務所(奈良市)が、現代の名工の技によって貴重な宝物と同じ素材と技法で再現する「正倉院宝物再現模造事業」を始め、本格的に取り組んでいる。
会場には、明治期に制作した「
同事業でガラス製宝物の模造として初めて制作した「
制作した倉敷芸術科学大主任技術員の迫田岳臣さん(58)は「昭和40年頃に宝物のガラス片を分析したデータをもとに、発色に関わる鉄や銅の量の配合、酸化させる時間などをいろいろ組み合わせ、2年間で『レシピ』を200通りほど試した」と振り返る。濃緑色、浅緑色、黄色、青色を再現し、「表面に彫られた線などは本当に細かく、当時の人の技術の高さを実感した」と話している。
観覧料は一般1500円。
〔2024年1月〕20日午後1時から明治神宮参集殿で、前宮内庁正倉院事務所長の西川明彦さんによる講演会を開く。参加料は1000円。
会期は2月25日まで(木曜休館)。詳細は展覧会ホームページ(https://shosoin-meijijingu.jp/)へ。
(2024年1月7日付 読売新聞朝刊より)
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