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2023.5.8

復元楽器の音色楽しむ 七絃琴、瑟 国立劇場で6月演奏会

瑟をつま弾く福永千恵子さん(左)と、七絃琴を手にする吉澤延隆さん(中)、木村麻耶さん(東京都千代田区で)

〔2023年〕10月末に建て替えのため閉場する国立劇場(東京・半蔵門)は6月10日、「現代邦楽名曲選―創作の軌跡」を開催、正倉院宝物の調査をもとに復元した楽器の音色を楽しむ、一柳慧作曲「水の相対」を披露する。

国立劇場では、1975年に正倉院宝物から尺八や横笛を復元し演奏した。以降もハープのような箜篌くご五絃琵琶ごげんびわなどの復元に取り組み、古代の音をよみがえらせてきた。今回は、復元楽器の七絃琴しちげんきんしつの二重奏で演奏する。

七絃琴を担当する吉澤延隆さんは「復元楽器は憧れだった。今の楽器を演奏するときの感覚に寄せるのではなく、楽器に委ねて演奏したい」と話す。

瑟の奏者、木村麻耶さんは「音楽の歴史に触れられて幸せに思う。楽器の音にただ向き合って、一期一会の演奏を楽しみたい」とする。瑟の絃は25本。9本、7本、9本と分かれ、真ん中の7本で低音を奏でる。89年の初演時に演奏した福永千恵子さんは「とても不思議な楽器。今の琴の音階とは異なり、ロマンがいっぱい。これからも演奏して音楽を育んでいってほしい」と期待を寄せた。

「現代邦楽名曲選」は6月10日、国立劇場小劇場で上演。午後2時の部は、宮城道雄作曲「越天楽変奏曲」など幅広い時代の名曲を紹介。復元楽器の演奏は午後5時の部で、他に武満徹の雅楽「秋庭歌しゅうていが」など。それぞれ一般6,000円。

国立劇場チケットセンター(0570・07・9900)。

(2023年5月6日付 読売新聞朝刊より)

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