三菱ゆかりの美術工芸品を所蔵する静嘉堂文庫美術館が10月1日、東京・丸の内に移転、「静嘉堂@丸の内」の愛称でオープンした。
「静嘉堂」(東京都世田谷区)は、三菱2代社長の岩崎弥之助が1892年に創設し、息子の4代社長・小弥太が拡充、父子で収集した日本や中国など東洋の美術品を所蔵する。1977年から一般公開を始め、92年に静嘉堂文庫美術館を開館した。
河野元昭館長は「弥之助は、実業家として蓄えた富は社会に還元することを使命ととらえていた。当時から丸の内に美術館を作る構想があり、130周年で実現することができた」と話す。
新しい美術館は、国の重要文化財「明治生命館」の1階。大理石の柱や天井の装飾など開館当時の意匠を生かしたぜいたくな空間だ。
開館を記念した展覧会「響きあう名宝 ― 曜変・琳派のかがやき」がこの日から始まり、「曜変天目(稲葉天目)」や俵屋宗達による「源氏物語関屋
茶道具のコレクションからは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が所蔵したと伝わる「
河野館長は「歴史の中で守り継がれた美術品や、それに美を見いだす意識、文化は、近代国家の中核をなすと強く認識していたと思う。これからの時代もまさに同じ。出かけやすい丸の内でぜひ伝統文化に触れてほしい」。
(2022年10月2日付 読売新聞朝刊より)
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