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2023.4.25

美に夢中 技に感動 アナウンサー徳前さんが「ポケモン×工芸展」の魅力を語る

「作品と目が合う」と目を輝かせる徳前さん(13日、金沢市の国立工芸館で)=細野登撮影

金沢市の国立工芸館で開催中の企画展「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」は開幕から1か月を迎え、子どもからお年寄りまで多くの来場者でにぎわっている。人気ゲーム「ポケットモンスター」シリーズに子どもの頃夢中になったというフリーアナウンサー徳前藍さん(29)が、「ポケモン」たちに工芸作家が挑戦した企画展の会場を訪れて、その魅力を語った。

吉田泰一郎〈イーブイ〉

「イーブイと目が合う」

「イーブイと目が合うんですよ!」。2階の展示室に入ると、徳前さんは目を輝かせながら語り出した。

ずらりと並んだのは、金工家の吉田泰一郎さんが手がけた大型作品イーブイと進化形のシャワーズ、サンダース、ブースター。作品のリアルな造形にじっくりと見入った徳前さんは「草むらを進むとポケモンに出会うゲームの世界を本当に体験しているみたいです」と興奮気味に語った。

小学生の頃、ドラマチックなストーリーにわくわくしながらポケモンをプレイした徳前さん。ポケモンの絵を夢中で描いた記憶を思い出し、「近くて遠かった」工芸の魅力が「ポケモンを通して鮮明に伝わってきた」。

〈ピカチュウの森〉を見上げる徳前さん

ノートにメモを取りながら会場を2周し、「見るたびに印象が変わる作品ばかりですね」と力説する。例に挙げたのは、今井完眞さだまささんの陶器〈フシギバナ〉。「最初は全体の迫力に圧倒され、もう一回改めて見ると、口の中までこんなにリアルに再現しているだとびっくり」と感心しきりだ。

アナウンサーとして、石川に根付く工芸文化をリポートする機会もあったが、漆の質感ひとつとっても、映像と言葉で全て伝えきることは難しかった。だが、田中信行さんによる漆黒のオブジェ〈無題〉は、「見ていて吸い込まれるような得体えたいの知れなさ」をじかに訴えかけてきた。かつて自分が伝えたかった工芸のすごみをつかんだ気がしたという。

田中信行〈無題〉

田中さんは金沢美術工芸大の教授を務め、石川を拠点に活動している。徳前さんは「こんなにすごいことができる人たちが身近にいるのだと、より多くの人に知ってもらえるように自分も頑張りたい」と決意を新たにした。

下絵なしで複雑な文様を描いた植葉香澄さんの大型陶器、手のひらサイズに彫金の技を詰め込んだ桂盛仁さんの帯留め金具……。展示室を出た後も、技術の粋を凝らしてポケモンを表現した作品に「ひと目ひと目が驚きの連続でした」と興奮が冷めやらない。

植葉香澄〈光火彩文グラードン〉

徳前さんは趣味の動物園巡りでも、園内を何周もするのが好きだという。「ずっといられますね」。まだまだ作品を見ていたい様子だった。

◇とくまえ・あい 1993年、金沢市生まれ。2017年、テレビ金沢に入社し、「となりのテレ金ちゃん」などに出演した。21年にフリーとなり、石川を拠点にテレビ番組やCMに出演し、地域の魅力を発信している。

※写真の作品はいずれも2022年、個人蔵、斎城卓撮影

「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」

▽会場 国立工芸館(金沢市)
▽会期 〔2023年3月〕6月11日まで。休館は月曜(5月1日は開館)、5月14日。問い合わせはハローダイヤル050・5541・8600。
▽主催 国立工芸館、NHKエンタープライズ中部、読売新聞北陸支社
▽特別協力 株式会社ポケモン
▽制作協力 NHKプロモーション
© 2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.

(2023年4月21日付 読売新聞朝刊より)

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