金沢市の国立工芸館で2023年6月11日まで開催中の企画展「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」(読売新聞北陸支社など主催)では、多くの来場者がポケモンと工芸作家の技の共演を楽しんでいる。株式会社ポケモンの石原恒和社長(65)に企画展の狙いと手応えを聞いた。
意外なコラボの企画展ですね。
石原社長 ポケモンのゲームを作る過程は、ポケモンや物語、世界観を生み出していく総合的な創作です。同じような創作活動である工芸とつながるのは実は自然なこと。工芸の「用の美」とポケモンのかけ算が何を生むか、興味がありました。
実際に作品を見た感想はいかがでしょうか。
石原社長 内見会では全作品を撮影しようとしましたが、写真で伝わらないすごみに触れてやめました。そんな経験は初めてです。桝本佳子さんの〈リザードン/信楽壷〉では、炎で焼かれた荒々しい質感に圧倒されました。
工芸とゲームの共通点はどんなところでしょうか。
石原社長 ゲームには、どんどん挑戦して変化させる部分と、絶対変えない部分があります。伝統を守りつつ、今の技術を取り入れる工芸と似ています。どちらも、挑戦がないと飽きられるが、変えすぎてもいけないと葛藤するのではないでしょうか。
作家は思い思いのポケモンを題材にしたとのことですが。
石原社長 ポケモンは植物的だったり、鉱物的だったりと、森羅万象を写し取ります。作家の方々は特定のポケモンに関心を集中させず、ポケモンの多様性を見抜き、(自分たちの技法に)引き寄せてくれました。ポケモンの質への自信につながりました。
作家の姿勢をどうご覧になりましたか。
石原社長 これだけの力作でも、作家の方々は「もっとできたはずだ」と満足していません。まだまだもっとすごいのを作ってくれそうです。
◇いしはら・つねかず
1957年三重県鳥羽市生まれ。83年筑波大学大学院芸術研究科修了。96年発売の「ポケットモンスター赤・緑」以降、全シリーズのプロデューサーを担当している。98年にポケモンセンター(現ポケモン)を設立し、社長を務める。
(2023年5月6日付 読売新聞朝刊より)
0%