城間栄市
〈琉球藍型着物「島ツナギ」〉(部分)
月光にでも照らされたのか、闇夜にポケモンたちの姿が浮かび上がりました。藍の濃淡で
タイトルの「藍型」は「えーがた」と読み、
今回は、本作と同じ型紙を用いた紅型作品も展示しました。陰陽の対比、また時間の流れを想像するなど、ペアならではの味わいをお楽しみいただければと思います。
(国立工芸館主任研究員 今井陽子)
◇ ◇ ◇
福田亨
〈雨あがり〉
雨があがったあと、アゲハントが長い口を地面につきさして吸水しています。赤、黄、緑と色彩豊かな羽はとても薄く、曲面をなしています。
この作品の素材はすべて木。一切着彩していない自然の木の色そのままです。目や羽はベースとなる木を彫り、そこに全く同じ形の木を嵌め込む木象嵌という技法が使われています。一般的には平面の作品で行われる技法ですが、福田亨は木の塊から彫りだしてある程度厚みを持たせ、嵌めたあとにも彫刻することで表情をつけました。それにより生きものの生命感がぐっと増すのです。
かわいらしいアゲハントに目が留まりますが、その下の地面にもご注目ください。細かい彫り跡で水分を含んだ土の表面が巧みに表現されています。
出品作家のうち、木工は福田だけ。木工の印象が自分の作品で決まるかもしれないというプレッシャーを感じながらも、その幅広さをみせたいと、多彩なアプローチで制作しました。ぜひ会場で木工の魅力を味わってください。
(国立工芸館 横川悠子)
「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」(読売新聞北陸支社など主催)は6月11日まで国立工芸館(金沢市)で開催中。問い合わせはハローダイヤル 050・5541・8600。
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