京都ゆかりの国宝、皇室の至宝の数々を出品する特別展「
京 の国宝―守り伝える日本のたから―」が、7月24日から京都国立博物館で始まります。「明月記」を伝えた冷泉 家、「御堂 関白記」を守った近衛家、そして多くの寺社が、相次ぐ戦火、天災など歴史の波をくぐり抜け貴重な文化財を守り伝えてきました。京都人の歴史を伝える矜持 とその意識を育んだ京都の地を紹介します。
藤原定家(1162~1241年)の日記「明月記」は、この時代には珍しく「徹底して私の視点で書かれた、いってみれば極私日記であった」と、「藤原定家『明月記』の世界」(岩波新書)の著者、村井康彦・国際日本文化研究センター名誉教授は解説する。
通常、宮廷社会に生きた人々の日記は、政務や儀式の詳細を子孫や、後の貴族社会に伝えるためのメモ。
ところが定家は、自ら望んだ役職に就けないとわかると「生涯の本望を失い悲涙を拭う」と嘆き、かわいい息子の活躍を聞くと「天の音楽を聞くが如し」と大喜びするなど、自らの感情を率直に書き残した。
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定家の人柄は「よくいえば芸術家肌だが、ジコチュー(自己中心的)」だと村井さん。現当主、為人さんは「京都人やなあと思いますよ」と苦笑いする。
(2021年7月4日読売新聞より掲載)
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