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2023.4.12

120年ぶりに大規模修理の興福寺五重塔…副住職が歩みを紹介

世界遺産の興福寺(奈良市)の国宝・五重塔(高さ約50メートル)は、今年から約120年ぶりの大規模修理が行われる。数々の苦難を乗り越え、約1300年間、守り伝えられてきた塔の歩みを、同寺の夛川たがわ良俊副住職が3月30日、東京・銀座の歌舞伎座花籠ホールで開かれた「興福寺文化講座」で紹介した。

講演する興福寺の夛川良俊副住職

五重塔は、同寺を創建した藤原不比等の娘、光明皇后の発願で730年に建立された。 落雷や焼き討ちなどで計5度の焼失を重ね、現在の塔は1426年頃に再建された。その後も台風や地震の被害を受け、仏教を排斥した明治初期の廃仏はいぶつ毀釈きしゃくでは廃寺同然となり、塔が売りに出されるという噂が広がったという。

興福寺の五重塔(国宝)

夛川副住職は、寺に伝わる史料などを示して、こうした歴史をたどりながら、「塔の復興に関わる船は通行料を徴収されなかった」などと、度重なる再建を支えてきた官民の取り組みを解説した。

塔の歴史に聞き入る参加者ら

今回の大規模修理は、瓦のふき替えや壁の塗り直しなどを行う予定で、塔を覆う素屋根の工事に今夏から取りかかり、2031年3月の完成をめざしている。資材価格の高騰などの影響も懸念されているが、夛川副住職は「後世に伝えていくための令和の大修理であり、修理を終えた姿をぜひ見届けて欲しい」と呼びかけた。

興福寺文化講座(東京)は昨年11月からシリーズで開かれている。今後の予定はこちら→ https://www.kohfukuji.com/discourse-other/

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