世界遺産の興福寺(奈良市)の国宝・五重塔(高さ約50メートル)は、今年から約120年ぶりの大規模修理が行われる。数々の苦難を乗り越え、約1300年間、守り伝えられてきた塔の歩みを、同寺の
五重塔は、同寺を創建した藤原不比等の娘、光明皇后の発願で730年に建立された。 落雷や焼き討ちなどで計5度の焼失を重ね、現在の塔は1426年頃に再建された。その後も台風や地震の被害を受け、仏教を排斥した明治初期の
夛川副住職は、寺に伝わる史料などを示して、こうした歴史をたどりながら、「塔の復興に関わる船は通行料を徴収されなかった」などと、度重なる再建を支えてきた官民の取り組みを解説した。
今回の大規模修理は、瓦のふき替えや壁の塗り直しなどを行う予定で、塔を覆う素屋根の工事に今夏から取りかかり、2031年3月の完成をめざしている。資材価格の高騰などの影響も懸念されているが、夛川副住職は「後世に伝えていくための令和の大修理であり、修理を終えた姿をぜひ見届けて欲しい」と呼びかけた。
興福寺文化講座(東京)は昨年11月からシリーズで開かれている。今後の予定はこちら→ https://www.kohfukuji.com/discourse-other/
0%