日本工芸会の正会員らが手がけた器を使って茶会や和食を楽しむ「Kogei Dining(工藝ダイニング)」が〔2023年〕3月4日、広島市西区の「上田流和風堂」で開かれた。茶道家や人間国宝の漆芸家による対談もあり、作品に向き合う姿勢や考えが披露された。
文化庁、日本芸術文化振興会などが進める文化プログラム「日本博」の一環で、今回は政財界や一般から約30人が参加した。
上田流和風堂は、広島藩の重臣で武家茶道・上田宗箇流創始者、上田宗箇の屋敷を再現している。十六代家元・上田宗冏さんが中国・四国地方の工芸作家による茶器を使って茶会を催した後、上田さんと重要無形文化財(蒔絵)保持者の室瀬和美・日本工芸会副理事長が対談した。
上田さんは「古いものを残すだけでなく、新しいものを取り入れることが伝統をつなぐために必要」などと屋敷を再建した際の思いを語り、室瀬さんは「美しさだけを追求せず、使い手のことを考えてこそ、ものづくり」と作家としての姿勢を明らかにした。
対談後、参加者は重要無形文化財(白磁)保持者の前田昭博さんらが手がけた器で、日本料理「喜多丘」(広島市東区)の懐石料理を味わった。
工芸作品の展示販売もあった。
(2023年4月2日付 読売新聞朝刊より)
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