「第25回国際博物館会議(ICOM)京都大会」6日目の9月6日は、参加者が京都の伝統芸能や文化を体験する「エクスカーション」が開催された。
「市内のお茶コース『器と茶道』」では、茶碗「樂焼」を450年にわたり継承してきた樂家の窯元に隣接する「樂美術館」(京都市上京区)を訪問。
十五代当主の樂吉左衞門さんが「続けるというのは、ただ歴史が古いということだけでなく、常に新しいものを生み出すということ。私たちは釉薬の調合は子どもにも教えない。自分なりの釉薬を考えて生み出すことで、新しい歴史を背負っていく」と樂家の教えを説明した。
続いて、裏千家茶道資料館(京都市上京区)を訪れてお茶席を体験し、重要文化財でもある茶室「今日庵」も見学した。
参加したスイス国立博物館のキュレーター、デニス・トフラさんは「とてもリラックスできる空間で、心が穏やかになった。見た目の美しさだけでなく、哲学や思想にもとてもひかれた」と話していた。
着物の着付けや和小物作りの体験ができる「京ごころ ハンディクラフトセンター」(京都市左京区)では、書道や聞香の体験などが行われた。
最初に、華道家の浜崎英子さんによる生け花の実演を鑑賞。「枯れたものも美しいととらえる生け花の精神性を伝えたい」と、浜崎さんが生花とドライフラワーを組み合わせて作品を完成させると、参加者からはため息がもれていた。
体験はグループに分かれて実施。書道では、初めて持つ筆の扱いに悪戦苦闘しながらも、講師の指導を受けて、「夢」や「和」といった言葉を懸命に練習した。署名をカタカナで入れて色紙を完成させ、満足そうな笑顔を見せる参加者も。
また、白檀や沈香など香木の香りをかぎ分けてゲーム形式で当てる聞香では、正解が出る度に、拍手が起こっていた。
イタリアの児童文学作家で、博物館の運営にも携わるロミーナ・マンクーソさんは「書道は力の入れ方が難しかったけれど、とてもポジティブな気持ちになれた。参加できてよかった」と話していた。
(読売新聞紡ぐプロジェクト事務局 泉田友紀、沢野未来)
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