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2022.9.28

茶文化の深遠vol.5―袋師 十三代 土田半四郎さん

平安から鎌倉時代にかけて中国から伝わった喫茶法は時代を経て徐々に和様化し、豊臣秀吉に仕えた茶人・千利休に至って、独自の文化「茶の湯」が大成されました。江戸時代には利休の子孫である三千家さんせんけの家元に茶道具を納める10の職家しょっか千家十職せんけじっしょく」が京都で技を磨きました。これらの家を訪れて歴史と仕事について尋ねました。

仕服に袱紗、技を絶やさず…十三代 土田つちだ半四郎はんしろうさん(53)
十三代 土田半四郎さん=河村道浩撮影

広く知られる土田友湖は隠居名。それまでは、今名乗っている当主名を使う。

西陣織の仲買人だった初代が、その当時、千家に出入りしていた袋師に弟子入り。家業の一切を譲られ、表千家六代覚々斎から出入りを許された。

一つ一つ形が違う茶入ちゃいれに合わせて仕服しふくという袋を作る。注文主の好みに合わせて金襴きんらん緞子どんす間道かんとうといった名物裂めいぶつぎれなどを使う。

「一つの茶入に違う仕服をいくつも作ることも。着せ替え人形のようなものです」と土田さん。美的センスが問われる仕事だが、「あくまで主役は中身」と控えめだ。

土田半四郎さん作の袱紗

五代友湖の頃から袱紗ふくさも手掛ける。袱紗を作る家が絶えたからだ。土田家は技を絶やさないという大事な役割を引き受けている。

(2022年9月4日付 読売新聞朝刊より)

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