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2022.9.27

茶文化の深遠vol.4―一閑張細工師 十六代 飛来一閑さん

平安から鎌倉時代にかけて中国から伝わった喫茶法は時代を経て徐々に和様化し、豊臣秀吉に仕えた茶人・千利休に至って、独自の文化「茶の湯」が大成されました。江戸時代には利休の子孫である三千家さんせんけの家元に茶道具を納める10の職家しょっか千家十職せんけじっしょく」が京都で技を磨きました。これらの家を訪れて歴史と仕事について尋ねました。

素朴な肌合い「ざんぐり」と…十六代 飛来ひき一閑いっかんさん(59)
十六代 飛来一閑さん=河村道浩撮影

一閑張いっかんばりは漆工芸の一種で、木地に和紙を張り、その上に1回だけ漆を塗る。なつめ香合こうごう食籠じきろう、盆など。漆を塗り重ねたつややかな漆器と違い、素朴な肌合いが特徴だ。

「初代が作った器を千利休の孫、宗旦さんが『ざんぐりしている(大まかで風趣な趣がある)』と喜んだ」と飛来さん。

高校3年の時に先代の父をなくしてから17年、一閑を名乗らなかった。技を教わっていなかったからだ。しかし千家に出仕して後を継ぐ決心をした。

飛来一閑さん作「朱黒塗分縁高」

襲名は夫の聡さん(58)との結婚後。2人で先代が残した材料と道具を手掛かりに仕事に取り組む。今では長男の一誠さん(27)も「ちょこちょこやってくれている」という。

(2022年9月4日付 読売新聞朝刊より)

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