平安から鎌倉時代にかけて中国から伝わった喫茶法は時代を経て徐々に和様化し、豊臣秀吉に仕えた茶人・千利休に至って、独自の文化「茶の湯」が大成されました。江戸時代には利休の子孫である
三千家 の家元に茶道具を納める10の職家 「千家十職 」が京都で技を磨きました。これらの家を訪れて歴史と仕事について尋ねました。
桃山時代、初代長次郎が、千利休の理想とする茶碗を作った。手びねりで土を成形し、小規模な窯で焼く。今も450年前と変わらぬ方法で作り続けている。
「手のやわらかさが茶碗に直接、備わっている」のが樂茶碗の特徴。狭い利休の茶室で、長次郎の茶碗がいかに存在したか。樂さんは、その黒茶碗「
わびの世界を具現化した長次郎に対し、三代道入は光沢のある「かろみの美」を表現。先代の父は前衛的な作風も持つなど、歴代は実に個性的だ。「初代の精神性を受け継ぎながら、自分は何を作り出すか」。思索や情熱を一碗に注ぎ込む。
(2022年9月4日付 読売新聞朝刊より)
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