国立文化財機構 文化財活用センターは、東京・上野の東京国立博物館で、8K画像を活用した新しい文化財鑑賞体験「8Kで文化財 『ふれる・まわせる名
事前予約制の限定公開による実証実験として、8月2日まで同博物館東洋館1階ラウンジで実施した。70インチの大型モニターに、同館所蔵の名品「大井戸茶碗
「大井戸茶碗 有楽井戸」(重要美術品、朝鮮/16世紀)は、ほんのり赤みを帯びたやわらかい
「志野茶碗 銘 振袖」(美濃=岐阜県/16~17世紀)は、白肌を透かしてススキの文様がうっすらと見え、志野の魅力がよくあらわれている。
今回、文化財活用センターは東京国立博物館・シャープとの共同により、形も重さも実物そっくりに制作した茶碗型のコントローラーを新開発。手元の茶碗を動かせば、センサーとカメラの働きにより、8Kモニター上の高精細画像を360度好きな角度から鑑賞できるようにした。まるで茶碗を手に取って眺めているような「疑似体験」が楽しめるようにした。
また、コントローラーの向きを画面に表示される「見どころマーカー」の位置に合わせると、作品の見どころポイントが表示される。作品への理解を深めるのに役立つよう工夫したという。
担当した三笠景子・東博主任研究員は「器は手に取ってこそ、ざらざらとした質感や重さなどを感じることができる。こうした触覚を通じた鑑賞は心に深く残るものだが、実際の展示ではなかなか手で触れる機会は得られない。今回のコンテンツを通じて、先人の目を追体験しながら、日本の豊かな焼き物文化に触れる手がかりにしてもらえたら」と話していた。
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