日本芸術文化振興会は、寄付金を財源とした「文化芸術復興創造基金」を創設し、新型コロナウイルス感染拡大で公演の中止などを余儀なくされた文化芸術団体の活動継続を支援すると発表した。あわせて、国立劇場での公演や担い手の養成事業など、振興会の取り組みを支える「くろごちゃんファンド(国立劇場基金)」も設立した。
「文化芸術復興創造基金」は、2020年2月以降、演劇や映画、伝統芸能などの事業活動が停滞し、収入が減少した団体などが対象。5月25日から、1口1000円以上の寄付を募り、寄付金が1000万円以上集まった段階で、100万円単位の助成を行う。
「くろごちゃんファンド」は、振興会が行う事業を通して出演者や舞台を支える技術者らを支える目的で、1口1000円以上の寄付を募っている。申込時に、寄付金の使い道を「伝統芸能の公開(歌舞伎、文楽など)」「伝統芸能の保存振興(養成、調査研究など)」と指定することもできる。
詳細は日本芸術文化振興会ホームページへ。
日本芸術文化振興会の河村潤子理事長のメッセージは以下の通り。
このたびの新型コロナウイルスに罹患された皆様と、感染拡大により日々の営みに影響を受けられている皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内の文化芸術団体は長期にわたる公演中止など、非常に厳しい状況に置かれております。
このような状況を踏まえ日本芸術文化振興会では、さまざまな文化芸術活動の存続支援と伝統芸能の保存、継承のために、2つの基金を創設し、皆様からのご支援を募ることといたしました。
日本芸術文化振興会は、芸術家や芸術に関する団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動、その他の文化の振興や普及を図るための活動に対し、国の補助金及び芸術文化振興基金による援助を行っておりますが、このたびの新型コロナウイルス感染症の影響によって文化芸術活動には多大な困難が生じており、振興会としては助成金の運用の弾力化や早期の交付に懸命の努力を重ねております。
しかしながら、公演等の事業の中止・縮小等が続き、多くの文化芸術団体にとって今や活動を存続させること自体が危機に直面しています。
心豊かな活力ある社会の形成にとって極めて重要な意義を持つ、文化芸術団体等の事業活動の継続を支援するため、「文化芸術復興創造基金」を創設いたしました。
また、日本芸術文化振興会は、国立劇場・国立演芸場・国立能楽堂・国立文楽劇場・国立劇場おきなわの各劇場において、主催者として伝統芸能の公演等、様々な活動を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、長い期間にわたり劇場の事業を中止することとなりました。
公演等の中止により、伝統芸能を担う実演家の皆様や、これを支える大道具・小道具・衣裳・床山など技術者の方々に活動の場を提供できない状況となっており、伝統芸能の保存と継承が非常に厳しい局面にさらされております。
我が国の伝統芸能に携わる方々を支援し、次世代に継承するための諸活動を未来に向けて持続するため、「くろごちゃんファンド(国立劇場基金)」を創設いたしました。
どうかこの2つの基金設立の趣旨にご賛同を賜り、格別のご協力とご支援をいただきますようお願い申し上げます。
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