髙島屋の和菓子バイヤー・畑主税さんが、毎月の行事や旬の素材にちなんだ、とっておきの和菓子を紹介します。この季節は何といっても桜。いにしえから歌に詠み、絵に描き、そしてめでて味わうお菓子にも桜にちなんだものは数多くあります。3月と4月の2回に分けてご紹介します。
東京・赤坂の「赤坂 塩野」では、桜が咲き始めると、
桜の花だけで3種類あり、一つ目は普通の桜の花びらよりも下半分の二枚が小さい「山桜」、二つ目は花が2段重ねになっている「八重桜」。透き通った錦玉製の干菓子に仕上げられており、花芯は黄色く染めたイラ粉(干し飯を砕いて煎ったもの)を散らして、何とも可憐で美しい。三つ目は、白く濁ったすり蜜琥珀で仕上げられた「吉野桜」で、この3種類を詰め合わせるお客さまも多いそう。
箱を開けた瞬間、笑みがこぼれるのが想像できますよね。お皿にのせるときには、緑色の寒氷製「桜葉」を添えておくと、なおいっそう美しくなるように思います。
【山桜・八重桜・吉野桜】各1個 税込140円
赤坂 塩野/東京都港区赤坂2-13-2(改装中。5月19日オープン)
5月5日までは仮店舗(赤坂3-11-14で営業しています)
TEL:03-3582-1881
https://www.shiono.net/
※販売は4月初旬までの予定。
桜餅には、関西風の道明寺タイプと関東風の長命寺タイプがあり、もちろんどちらも味わいたいものですが、全国和菓子協会の「優秀和菓子職」に認定された明神宜之さんが店主を務める広島の「旬月神楽」には、「夜桜餅」という桜餅があります。
焼き皮がとてもしっとりとしていて、小麦粉に餅粉やわらび粉が入っているため、もちっとした柔らかさが楽しめます。桜餅にはさらりとしたこしあんが挟まれているのが一般的ですが、この夜桜餅に包まれているのは滑らかな桜あん。口に含むと、あんが溢れ出しそうで、春のワクワクした気分でぜひ味わっていただきたい桜餅です。
【夜桜餅】1個 税込270円 桜餅(長命寺)は1個税込み216円
旬月神楽/広島市西区庚午北2-11-18
TEL:082-208-0877
旬月神楽白島工房/広島市中区白島中町4-16
TEL:082-512-3288
https://mitsuya-honpo.jp/
※販売は4月初旬までの予定。
奈良県の吉野山は、古くから桜の名所で知られています。その吉野にある「葛屋中井春風堂」で、桜の時期に作られる
このような細工羊羹は、上の層から型に流し込んで作りますが、まずは透明な
桜の風味によって塩気とともにさっぱりとした味わいがあり、断面も色合いの組み合わせも、とても麗しい一品です。
【さくら羊羹】1本 税込み800円
葛屋中井春風堂/奈良県吉野郡吉野町吉野山545
TEL:0746-32-3043
http://nakasyun.com/index.html
※販売は4月中旬までの予定。
プロフィール
髙島屋和菓子バイヤー
畑主税
1980年生まれ、大阪府出身。2003年に髙島屋に入社し、洋菓子売り場の担当を経て、06年和菓子売り場の担当に。京都の和菓子を作りたてのままで提供したいという思いから、人気店の上生菓子を自ら京都で仕入れ、新幹線で運び、夕方に店頭に並べ話題を集めた。全国1000軒以上を巡り、食べた和菓子は1万種以上。著書に「ニッポン全国 和菓子の食べある記」(誠文堂新光社)。ブログ「和菓子魂!」(http://blog.livedoor.jp/wagashibuyer/) Twitter:@wagashibuyer
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