720年(養老4年)に我が国最古の正史「日本書紀」が編纂されて今年で1300年を迎えたのを記念し、特別展「出雲と大和」が3月8日まで、東京・上野の東京国立博物館で開催されている。大和(奈良)と出雲(島根)の遺跡などから発掘された出土品を中心に、古代日本の文化や権力の変遷、諸外国との交流といった歴史を学べる内容になっている。
「日本書紀」では、出雲大社がある出雲は神々や祭祀の世界、天皇がいる大和は現実世界、政治の世界とされている。
出雲は日本海を通した交流で独自の文化を形づくり、多数の青銅器を用いた祭祀が行われていた。会場には島根県出雲市の荒神谷遺跡から出土した銅剣358本のうち168本、銅矛16本(いずれも国宝)のほか、複数の遺跡から発掘された大量の銅鐸がずらりと並び、その規模に圧倒される。
一方の大和では、権力の象徴として前方後円墳が作られ、富を表す品が埋葬された。奈良県橿原市の新沢千塚一二六号墳から出土したガラス皿、金製指輪(いずれも重要文化財)など、大陸から交易品や、同県斑鳩町の藤ノ木古墳から出土した龍や鳳凰の透かし彫りが美しい金銅装鞍金具(国宝)などの豪華な品々が並ぶ。
後半の「仏と政」のコーナーでは、飛鳥時代以降の仏像や大陸からもたらされた仏像が並ぶ。仏教が信仰や国づくりの中心となり、古墳に代わって権力の象徴となっていった様子をうかがい知れる。
場内には、古代東アジアの至宝とも言われ、 1949年1月に焼損した法隆寺金堂壁画の複製陶板も飾られており、来館者が写真を撮れるフォトスペースになっている。
(読売新聞紡ぐプロジェクト事務局 沢野未来)
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