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2025.2.19

【皇室の名宝と新潟・下】 皇居正殿 棟飾りの原型 ―「瑞鳥置物ずいちょうおきもの」佐々木象堂しょうどう(県立近代美術館主任学芸員・飯島沙耶子)

皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)収蔵の名品や県ゆかりの美術工芸品を紹介する展覧会「皇室の名宝と新潟 ―皇居三の丸尚蔵館収蔵品でたどる日本の技と美」が長岡市の県立近代美術館で開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。

瑞鳥置物ずいちょうおきもの
佐々木象堂しょうどう
1958年(昭和33年)頃
皇居三の丸尚蔵館収蔵

皇居宮殿の中で、重要な儀式が執り行われるのが「正殿」。その屋根には、1対の瑞鳥の棟飾りが据えられている。

展覧会初公開となる本作は、その原型となった作品。作者の佐々木象堂は佐渡出身の鋳金家で、蝋型ろうがた鋳造の技術で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

瑞鳥は軽やかな立ち姿をしているが、急カーブを描く首や高く反った尾羽、シャープな脚など、いずれも絶妙なバランスを保っている。羽に見られる装飾はアール・ヌーボーやアール・デコなど、西洋の潮流を取り入れた象堂らしい、モダンな表現だ。

佐渡汽船の新潟港ターミナルには、同じ主題の拡大像が設置されており、本県と皇室のつながりを感じられる作品と言える。(県立近代美術館主任学芸員 飯島沙耶子)

〔2025年〕3月16日まで。県立近代美術館(0258・28・4111)。

(2025年2月19日付 読売新聞朝刊より)

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