1872年から1885年にかけて、明治天皇は全国各地を行幸された。いわゆる六大巡幸である。しかし、長期間の航海を要する沖縄に赴かれることはなかった。
そのため、1887年11月8日、明治天皇の命により、約ひと月半の行程で伊藤博文首相、大山
視察に関連して、洋画家の山本
一方、視察では写真撮影も行われた。撮影した人物は判然としないが、鹿児島、長崎、広島、そして沖縄の風景や人々の様子が撮影され、のちに一冊の写真
芳翠の連作画と写真資料は、伊藤首相らの視察ルートと一致しており、かつての琉球王国の面影を垣間見ることができる。芳翠が遺したスケッチから、実際に沖縄を訪問したと考えられるが、伊藤に同行したのか否かは判然としない。
沖縄県関係写真のうち、
かくして、明治天皇は当時としては新しい技術である、写真とフランス仕込みの油彩画を通して、よりリアルに臨場感あふれる沖縄の姿をご覧になった。
(宮内庁三の丸尚蔵館学芸室研究員 芳澤直之)
◆皇室の美と沖縄ゆかりの品々
【会期】1月20日(金)~2月19日(日)
【会場】沖縄県立博物館・美術館(那覇市おもろまち)
【主催】沖縄県立博物館・美術館、沖縄美ら島財団、宮内庁、文化庁
【特別協力】紡ぐプロジェクト、読売新聞社
【問い合わせ】098・941・8200
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