山頂近くには一面にお花畑が拡がり、頂の岩上には倭尊を祀る聖山。独立峰で眺めは素晴らしい。しかし一転、山すそを見ると地上、湖面からモクモクと雲が湧き上がる。またたく間に1、2メートル先も見えなくなる。大自然の壮大な一瞬を捉えようと試みた。綴織をベースに独自のテクニックを駆使して表現した作品である。
潮 隆雄(1938- ) Ushio Takao
和歌山県生まれ。1961年京都市立美術大学卒業。日展を主体に活動し、1976年及び1992年特選、2003年会員賞を受賞、日本現代工芸美術展でも受賞を重ねた。2007年和歌山県文化賞受賞。古くから伝わる綴織という紋織物の素材と技法を追求し、タピスリー様の平面の形態で風景や自然の事象等を絵画的主題として、色彩豊かな織の立体的な造形表現を繰り広げている。《綴織・霊峰湧雲》は、透き通った青い空のもと、霊峰の裾野に広がる豊かな自然の移りを色彩に変貌させ湧く雲に映して表現している。滋賀県大津市在住。
0%