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2025.6.16

玉三郎 夢二連作を鑑賞 — 舞踊劇のモチーフ「赤が独特」

竹久夢二の絵の前で、「長崎十二景」について語る坂東玉三郎

美人画で知られる画家・竹久夢二の連作「長崎十二景」をモチーフにした舞踊劇などで構成する「坂東玉三郎特別公演」が〔2025年6月〕12~22日、京都・南座で開催される。公演を前に、玉三郎が京都を訪れ、福田美術館所蔵の夢二作品を初めて鑑賞した。

「赤の使い方が独特ですね。(夢二は)ワインレッドみたいな色がお好きだったようですね」。連作「長崎十二景」の前に立った玉三郎は、そうつぶやき、12枚の絵に見入った。

邦楽作曲家・唯是ゆいぜ震一の同名組曲による新作舞踊を初演したのは1979年。起承転結のストーリーで展開する物語とは全く異なる手法で制作した。「僕は曲に入り込んでいくたちで。曲があれば踊ることができる。唯是さんの曲を聴いているうちに景色やイメージが浮かび、それをつなげていった」と振り返る。

「日本の舞踊や能は、和歌の中から生まれてきた。歌が連綿とつながって、時には言葉の持つ音だけでつながる。和歌や詩を聴いているうちに、お客様に何か人生観のようなものが見えていくのが、日本の芸能の詩的な部分ではないでしょうか」

今回、撮り下ろした映像作品「夢二慕情」を舞台で流し、恋人たちの語る言葉から、夢二の姿を浮かび上がらせるという。「見る人の心に何ともいえない恋慕の情や、時代の豊かさを伝えるのが夢二の絵のよさですね」としみじみ語った。

ほかに「口上」、地唄舞「残月」も披露する。☎0570・000・489。

(2025年6月11日付 読売新聞夕刊より)

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