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2022.10.4

国立劇場「さよなら公演」歌舞伎第1弾-菊之助さん「義経千本桜」再演

国立劇場10月歌舞伎公演は、歌舞伎三大名作の一つ「義経千本桜」が上演される。尾上菊之助さん(45)が主役の三役(知盛とももり権太ごんた忠信ただのぶ)に挑む話題の公演だ。

「渡海屋銀平実ハ新中納言知盛」 (国立劇場提供)

2020年3月に予定されたが、コロナ禍で全日程中止となり、無観客で収録した舞台映像がユーチューブで無料公開された。

「稽古するたびに中止要請が来て、すべて公演がなくなった時はつらい気持ちでいっぱいで……。時計の針が心の隅で止まった気がしました」と菊之助さんは振り返る。

「いがみの権太」 (国立劇場提供)
「佐藤忠信実ハ源九郎狐」 (国立劇場提供)

今回は「初代国立劇場さよなら公演」の歌舞伎第1弾としての“再演”が決まり、「今は興奮の感情でいっぱいです」と笑顔を見せる。全五段の物語の大半を見せる「通し狂言」と銘打ち、二段目にあたるAプロ(主役・渡海屋銀平実ハ新中納言知盛)、三段目の Bプロ(同・いがみの権太)、四段目の Cプロ(同・佐藤忠信実ハ源九郎狐)の3パターンを上演する。権太と忠信は父の尾上菊五郎さん(80)、知盛は昨年77歳で亡くなった義父の中村吉右衛門さんの教えを受けた。「Aプロは『幼子への愛』、Bプロは『義』、Cプロは『忠』が、演じるテーマ」と言う。

「勝者のない物語ですが、愛、忠、義を作者が深く描いている。千本の桜のように登場人物が美しく咲き、きれいに散っていく。ストーリーの素晴らしさを感じています」

尾上菊之助さん(国立劇場提供)

10月26日まで。問い合わせは、0570・07・9900。

(2022年10月2日付 読売新聞朝刊より)

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