2021.11.17

平家の若武者・平敦盛の<最期>の真実とは?「一谷嫩軍記」…国立劇場11月歌舞伎公演

「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場 (右)熊谷次郎直実:中村芝翫 (左)熊谷妻相模:片岡孝太郎  提供:国立劇場 撮影:二階堂健

国立劇場(東京・半蔵門)では、開場55周年記念として「一谷いちのたに嫩軍記ふたばぐんき」が上演されている。

「平家物語」から一ノ谷の合戦を題材にした時代ものの傑作で、近松門左衛門の後、浄瑠璃の黄金時代を支えた一人、並木宗輔(千柳)が手がけた。宝暦元年(1751年)12月、大阪で人形浄瑠璃として初演され、翌年、歌舞伎に移された。

序幕は「御影浜浜辺の場」。摂津国の御影浜(兵庫県南東部)では、数日前に近くの一ノ谷で平家の軍勢が源氏に急襲され、大敗したばかり。石屋の弥陀六は、浜辺に建立した石塔の依頼主から笛を受け取ったと語る。平家の若武者、平敦盛の母・藤の方は、その笛が敦盛愛用の「青葉の笛」だと気づき、わが子が源氏の武将・熊谷次郎直実に討たれたと知らされる。

「一谷嫩軍記」序幕 御影浜浜辺の場
(左)石屋の弥陀六:中村鴈治郎 (右)経盛室藤の方:中村児太郎
提供:国立劇場 撮影:二階堂健
「一谷嫩軍記」序幕 御影浜浜辺の場
(左)石屋の弥陀六:中村鴈治郎 (右)庄屋孫右衛門:中村寿治郎
提供:国立劇場 撮影:二階堂健

二幕目「生田森熊谷陣屋の場」では、笛を持って陣屋を訪れた藤の方に、熊谷が敦盛の最期を語って聞かせ、やがて源氏の大将・源義経が現れて敦盛の首実検が始まる。果たして石塔の依頼主の正体は―。

「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場
(中)熊谷次郎直実:中村芝翫 (左)熊谷妻相模:片岡孝太郎 (右)経盛室藤の方:中村児太郎
提供:国立劇場 撮影:二階堂健
「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場
(奥中)熊谷次郎直実:中村芝翫 (奥右)九郎判官義経:中村錦之助 (手前左)熊谷妻相模:片岡孝太郎 (手前右)経盛室藤の方:中村児太郎
提供:国立劇場 撮影:二階堂健

国立劇場では、1972年(昭和47年)4月公演で、1893年(明治26年)以来79年ぶりに「御影浜浜辺の場」を復活した。今回はそれ以来49年ぶりの上演で、藤の方が形見の笛を手に熊谷陣屋に現れる経緯が明らかになるなど、ストーリーが分かりやすい。首実検の場面では、首を見て驚く藤の方らを熊谷が制する「制札せいさつの見得」が見ものだ。

家の芸とも言える「芝翫型」の熊谷を演じる中村芝翫さんは、「芝翫の襲名披露で勤めた熊谷を、襲名から5年という節目に、またこうして大きな舞台で勤めさせていただきとても感謝しています」と述べた。芝翫型の熊谷は、誇張的な表現が特徴で、黒ビロードの着付けに赤い錦織物の派手な裃をまとう。「幕切れも『引っ張りの見得』で、よく上演される団十郎型の引っ込みとは違います。引っ張りの見得で終わると、熊谷の『志半ば』という思いがよく伝わってきますし、ご覧になっているお客様にも余韻が残る気がします」と話した。

初役で弥陀六を勤める中村鴈治郎さんは、「弥陀六は様々な複雑なものを抱えて石屋になっているし、平家への思いも肚(はら)として持っています。人の性根というものもすべて含めて、うまく演じられたら」と意気込みを語った。

国立劇場 開場55周年記念 11月歌舞伎公演「一谷嫩軍記」(二幕)
主な配役
熊谷次郎直実 中村芝翫
源義経 中村錦之助
熊谷妻相模 片岡孝太郎
白毫の弥陀六実ハ弥平兵衛宗清 中村鴈治郎
11月25日まで(18日は休演) 12時開演(14時50分終演予定)
※19日は12時、17時の2回公演(17時の部は19時50分終演予定)

公式サイトはこちら https://www.ntj.jac.go.jp/sp/schedule/kokuritsu_l/2021/3110225.html

「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場
(左)熊谷妻相模:片岡孝太郎 (右)堤軍次:中村橋之助
提供:国立劇場 撮影:二階堂健
「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場
(左)白毫の弥陀六実ハ弥平兵衛宗清:中村鴈治郎 (奥右)梶原平次景高:中村松江 (奥左)堤軍次:中村橋之助
提供:国立劇場 撮影:二階堂健
「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場
(中)熊谷次郎直実:中村芝翫 (左)熊谷妻相模:片岡孝太郎 (右)経盛室藤の方:中村児太郎
提供:国立劇場 撮影:二階堂健
「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場
(手前中)白毫の弥陀六実ハ弥平兵衛宗清:中村鴈治郎 (奥左)九郎判官義経:中村錦之助
提供:国立劇場 撮影:二階堂健
「一谷嫩軍記」二幕目 生田森熊谷陣屋の場
(手前中)熊谷次郎直実:中村芝翫 (手前右)白毫の弥陀六実ハ弥平兵衛宗清:中村鴈治郎 (奥中)九郎判官義経:中村錦之助 (手前左)熊谷妻相模:片岡孝太郎
提供:国立劇場 撮影:二階堂健

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